片付けが苦手な人へ
コラム
2020年12月24日
片付けることが苦手な人の背景には、様々な理由があります。
- どこから手をつけたらいいのかわからず、先延ばしにする人
- その瞬間には、後から困ると思わない人
- 忙しすぎて片付けに手が回らない人
- 散らかっているとは思わない人 …他にも理由は千差万別
今回は「どこから手をつけたらいいのかわからず、先延ばしにする人」に焦点を当ててみます。
人の注意力について
まず注意力について述べていきます。人の注意力の発揮方法は大きく2つに分かれます。いろんなことに「広く浅く」注意を向けることが得意な営業マンのようなタイプと、ひとつのことに「深くせまく」注意を向けることが得意な研究者のような一点集中型タイプです。
得意な注意の発揮方法は性格によるものなので、どちらも良い面と、困り感につながりやすい面があります。
ただし、「広く浅く」と「深くせまく」はきれいに二分割はされません。グラデーションのように、人それぞれ注意力の発揮方法は異なります。「自分はどっちの傾向が強いかな?」と参考程度に捉えてください。
◇「広く浅く」が得意な人は、同時処理が得意です
「広く浅く」のタイプは、ひとつのことに集中して取り組むことを苦痛に感じやすい反面、色々なことを同時にこなせる器用さがあります。複数の作業を同時に行うことは「同時処理」と呼ばれる能力であり、「広く浅く」のタイプはこれが得意な人たちです。
同時処理の例として、雑談があげられます。雑談をスムーズに進めるためには、「相手の表情や仕草を読み取る」「話す内容によってその後どういう方向へ話題が展開していくか推測していく」「相手に伝わる方法・言葉を選ぶ」「表情や声色にも意識を向けながら雰囲気をよくする」といった、複数の作業を同時にパパッとこなすことが求められます。こうしたことが得意な人は、広く浅くタイプの可能性が高いです。
◇「深くせまく」が得意な人は、単一処理が得意です
「深くせまく」のタイプは、同時にいろいろと取り組むことは苦手さを抱きやすい反面、ひとつのことをしっかりと確実に積み上げていく強みがあります。一つの作業のみ行うことは「単一処理」と呼ばれる能力であり、「深くせまく」のタイプはこれが得意な人たちです。
単一処理の例として、事務作業があげられます。集中力を途切らせず、決められた方法を確実に守って、ひとつずつ取り組む力が求められます。大方の人が「このくらいでいいだろう」と手を抜きたくなるようなところもしっかりとこなしてくれるため、周囲の信頼を得やすいでしょう。コツコツ単一の作業に取り組むことが得意な方は、深くせまくタイプの可能性が高いです。
片付けは同時処理
「深くせまく」が得意な人は、片付けに苦手意識を抱いている人が多いです。というのも、片付けは同時処理にあたるからです。
もともと、道具の配置場所が全て決まっている場合は、「使ったものを戻す」という単一処理になります。しかし、配置場所が決まっていない、あるいは、配置場所は決まっていたはずだけど見る影もないと、単一処理ではなく同時処理になります。
「どこから手をつけたらいいか決める」→「捨てるものと必要なものを選ぶ」→「どこに戻すか決める」→「ホコリを取るのが先かものを戻すのが先か」などなど、たくさんの作業が待ち構えているからです。
何から手をつけていいかわからないと、頭がパンクしそうになるので「うーん、後にしよう」と先延ばしが生じやすいのです。誰しも辛いことは避けて通りたいですからね。
片付ける上で意識してほしいこと
モチベーション維持のために、目に見えて変化がわかりやすいところから手をつけることをお勧めします。机の上のペンを収納するよりも、積み重なった服をタンスにしまう方が視覚的にスッキリして「片付けたぞ!」と実感しやすいでしょう。
スッキリしてきたら、物の置き場所を決めてください。一度片付き、置き場所を決めたら「使ったものを戻す」という単一処理になり、あなたの強みが発揮しやすくなります。
このような理由で片付けが苦手な人が周りにいる場合、「片付けなよ」と言うだけでなく、「ノートはここに置くって決めるのはどう?」とものの置き場所を支持してあげると、言われたことを実施するという単一処理になるため、言われる側も気が楽なことが多いです。
スケジュールを立てることが苦手な人
計画を立てるという行為も、複雑な同時処理になります。こちらも同じように、スケジュールの立て方の基盤が本人の中にできれば単一処理となります。
単一処理に持ち込むまですごく難しさを感じた場合、周囲の人や専門家に頼ってみてください。あなたの強みは「深くせまく」です。
時間を守れない人は、別の理由が影響している可能性が高いです。 こちらについてもおいおい述べていけたらと思います